経験が問われる再発型の治療

経験が問われる再発型の治療

経験が問われる再発型の治療

残念ながら、下肢静脈瘤は再発することがあります。再発した静脈瘤にはいくつかの特徴があって、全体に初発の静脈瘤より症状は強く、故障した血管の構造は複雑になり、治療は難しくなります。

 

まず症状についてですが、再発例ではその見た目以上に症状が強いのが特徴です。初発ではそこそこ瘤が目立っていてもそんなに自覚症状を伴わないことがよくありますが、再発例では逆に瘤がほとんど目立たないにもかかわらず、強いだるさや皮膚症状が伴われることをしばしば経験します。

 

じゃあ血管はどうなってるんだろうと超音波検査を行うのですが、超音波で見てもやはり明らかな責任血管がはっきりしないことが多いです。初発例では伏在静脈瘤・側枝静脈瘤ともに、重要なポイントがはっきりとわかります。人によってそれが1箇所だったり複数あったり、超音波検査で明らかに太くて逆流が強いポイントがあるのです。その情報をもとに治療の優先順位を考えるのです。その重要なポイントが、再発例でははっきりしないことがあります。というよりも重要ポイントが複数に分散していて絞りきれないのです。

 

通常は皮下脂肪の中を走行する浅い静脈の故障が下肢静脈瘤の原因ですが、再発例ではよく見ていくと筋肉の中を走行する深部静脈が原因となっていることもあります。

 

このように形態が複雑なので、再発例への治療も複雑なものになりがちです。下肢静脈瘤の治療というと血管内焼灼術が主流となっています。血管内焼灼術は血管の中にカテーテルを入れて行う治療ですので、まっすぐな伏在静脈には有用ですが、曲がりくねった側枝静脈には適していません。ただ、その伏在静脈は通常は初回の手術で処理され、再発の際には残っていません。なので、再発例の治療で血管内焼灼術が適応される例は限られます。

 

じゃあ、何ができるのか? 硬化療法とスタブ・アヴァルジョンです!スタブ・アヴァルジョンが可能な範囲はできるだけ適応し、そうでない部位には硬化療法を選択します。責任血管がたくさんあるので、はっきり言って簡単な作業ではないですが根気強く治療すると必ず結果には反映されます。

 

ただし、やはり再発型の治療には限界はあるので、最初から再発が少なくなるような治療法を選択する方が望ましいです。

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