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治療

2026.04.26

クモの巣状静脈瘤治療の最終兵器:YAG-Laser

webへの治療は実は難しい

下肢静脈瘤の中で最も細いタイプはクモの巣状静脈瘤(web)と呼ばれます。これは、非常に細い静脈が故障して生じるもので、外見上はとても細い赤く折れ曲がった線として見えます。webが怠さや痛みなどの原因になることはありませんし、放置しても大きな静脈瘤に進行することはありませんので、基本的には治療を行う必要はありません。しかし、これが外見上気になると言われる患者さんが多く、私達にとっても悩みの種でした。

以前は硬化療法を行っていました。あの細い血管をよく観察すると、それらが1箇所に集まる場所があります。そういうところを狙って、細い針で硬化剤を注射するのです。ですが、とても細いので、注射を失敗することもありますし、薬が思ったように入ってくれないこともありますし、中には、細い血管たちがバラバラに存在することもあります。言い訳はさておき、治療後の結果を見ると、思っていたより血管が残っていたり、治療した部位に色素沈着と言って色がついたりする場所もあり、決して来院前に患者さんがイメージされているようなすっきりした結果ではありません。

治療に過剰な期待を持たれた状態では良くありませんから、治療前にはその内容について徹底的に説明します。血管が残ること、色がつくこと。見た目を良くしたくてこられている患者さんに対して話す内容としては、かなり暗いです。その説明内容に喜ばれる患者さんは少ないですし、何よりも説明している私自身が楽しくありません。下肢静脈瘤の専門クリニックで下肢静脈瘤しか診療しないと決めていますから、下肢静脈瘤以外の病気の診療はお断りしています。ですから、下肢静脈瘤だけはどんなタイプであっても治療したいというのが私の願いです。その中で、漏れてしまっていたのがwebでした。

YAG-Laserの導入

webの治療については海外でも同じように悩んでおられる患者さんが多く、海外にはいくつかの有望な候補があります。その中から私が選んだのがYAG-laserでした。仕組みは、いわゆる脱毛やシミ対策で照射されるレーザーと同じで、外からレーザー光を当て、その作用で血管にダメージを与えるというものです。レーザーは機種によって照射できる波長やその他の設定が異なり、それらの違いによって治療できる対象が変わります。実は、YAG-laserは脱毛治療によく使われるレーザーで、脱毛目的に開発された機種はたくさんあります。しかし、同じYAGでも黒い毛に照射する場合と、赤い血液に照射する場合では、必要な設定が大きく異なり、脱毛目的で開発された機種のどれもがwebを治療できる基準を満たしていませんでした。さらに、スペック上は効果があるように見えてテストを行ったいくつかの機種は、全く効果がなかったり、痛みが強かったりと、期待したような結果には至りませんでした。結局のところ候補になりうる機種は少なく、その中からSCITON社の機器を導入しました。

YAG-laserの治療経過

YAG-laserを導入してかなりの経験を積みました。はっきりわかったことは、レーザーを照射してもwebがすぐに消えるわけではないこと。実は効果があっても、それを実感できるまでに数ヶ月かかります。1回で治療が終わる場所もあれば、2回もしくは3回の治療が必要になった患者さんもおられます。1回治療して血管が残っているように見えても、慌ててすぐに追加するよりは、落ち着いて数ヶ月待つ方が良いです。経過中は、患者さんの表情があまり明るくありません。「ゆっくり消える」という私の説明を信じていないように見えることもあります。ただ、2年ほどの経過でかなり良くなります。即効性を期待するものでは無いということは理解いただく必要があります。

もしかすると、即効性を求めた患者さんにとっては「期待外れ」となる可能性もあります。ただ、硬化療法と比べた時に間違いなく優れているのは、色素沈着が少ないこと。少なくとも細いwebに照射する場合は色素沈着を生じません。(対象を網目状静脈瘤に広げると少し色素沈着します)なので、総合的に術後の経過を比べると、硬化療法よりも優れているのは間違いありません。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

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