表現は悪いですが、陰部静脈瘤患者さんはたらい回しになってしまっている印象があります。誰も悪くはないのですが、産婦人科の先生は静脈瘤や硬化療法への経験が少ないこと、静脈瘤を診察する医師は陰部を診察することに抵抗があること(専用の道具や機材を持っていないし、何より陰部は産婦人科の守備範囲という意識があります)。それぞれが遠慮しあって、結果的に陰部静脈瘤を診察する医師がいないという状況に陥りがちです。患者さんも、やはりあまり人に見せたくないデリケートな部位になりますので、受診するのをためらってしまいます。
ただ、意を決して受診された患者さんの話を伺うと、われわれが想像する以上に重い症状に悩んでおられる方が多いのでできるだけの治療はしたいと考えています。
治療の方向性は大きく3つに分けられます.一つは硬化療法です。お腹の中までは効果が及ばないので完全な治療とは呼べませんが、だるさなどの症状はかなり軽減できることが多いです。一つはカテーテルを用いてお腹の中の故障した血管を詰まらせる治療です。あと一つは手術で静脈瘤を切除してしまうという治療です。硬化療法は当クリニックで行うことができますが、カテーテルや切除はクリニックでは出来ない治療ですので、どうしても必要な場合には他の医療機関に紹介するケースもあります。