再発が問題です
下肢静脈瘤が治療後に再発する可能性のある疾患であることは、昔からずっと問題になってきました。患者さんにとっては不幸な出来事ですし、医師にとっては克服するべき課題となってきました。ですから、学会などでは「再発型静脈瘤」として区分され、それだけを話し合うセッションも用意されるほどです。再発の原因を突き止めるために、「手術の方法を比較する」、「術後の管理方法を工夫する」、など治療内容を中心とした調査が何度も行われてきました。
再発を減らすための調査
例えば、伏在静脈に対する治療の中で静脈結紮術(逆流している血管を糸で縛り、逆流を止める手術)や硬化療法は、静脈抜去術や血管内塞栓術・血管内焼灼術と比べて再発率が高いことがわかっています。ですので、現代では静脈結紮術はほぼ行われなくなりました。そして、静脈抜去術や血管内塞栓術・血管内焼灼術は再発率の上では差がないことがわかっています。他にも、高齢であることや女性であること、肥満や長時間の立ち仕事は再発のリスクを高めることがわかっています。(そんなことを言われても、「肥満」以外は自力ではどうにもできませんが)
では、再発を防ぐ方法は無いのでしょうか?残念ですが、「再発を防ぐ」方法は見つかっていません。ですが、「再発を起こしやすい」状況のいくつかは明らかになっていますから、そのような状況を避ければ「再発を減らす」ことに繋がります。それが、私が目指していることです。具体的に説明しますね。
再発を減らすためにできること
まず、丁寧に検査をすること。静脈の逆流を見つけたら、そのスタートからゴールまでを細かく探ります。静脈の形はもともと人によって違います。だから、手の静脈を使って「静脈認証」が可能になるのです。ですから、サッと見ると同じように見える構造でも、ちゃんと確認すると細かな個人差が見つかります。そのような細かな違いがあっても、大半の方では問題なく治療はできますが、稀に治療に大きな影響を及ぼします。大切なことは、そのような違いがあることに事前に気づいているかどうかです。先に気付いていればそのつもりで準備ができますが、手術室の中で気付いても、もう準備はできません。
次に、やはり丁寧に治療をすること。別の項でも説明していますが、側枝をしっかりと治療することで再発の可能性が下がることがわかっています。しかし、側枝の治療は技術が必要で、しかも時間がかかります。さらに言うと、側枝の治療を妨げる問題ってたくさんあるんです。例えば、静脈瘤が悪化して、治療したい部位の皮膚や脂肪が硬くなってしまうと、治療がやりにくくなります。長く放置された方では、血管が硬く脆くなってしまうこともあります。術中にスパズムと言って血管が収縮してしまうこともあります。治療の順番を間違えると、その後の治療がやりにくくなったりもします。側枝だけではなく、伏在も複数の部位が壊れていたり、思わない部位につながっていたり、ものすごく屈曲していたりと、治療が難しい方は珍しくありません。それを全部治療するのはとても根気のいる作業です。なぜ、そのような作業ができるのか?その作業の一つ一つが、術後経過にどのような影響を及ぼすかを知っているからできるのです。
山本 崇
やまもと静脈瘤クリニック




