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下肢静脈瘤について

2026.04.26

下肢静脈瘤の種類

静脈瘤の仕組み

皮下脂肪の中を走行する表在静脈の逆流防止弁が故障して、静脈の血流が逆流することにより引き起こされる病気が下肢静脈瘤です。初期には逆流する血液の量が少ないのであまり自覚症状はありませんが、逆流する量が増えるとだるさやむくみ・こむら返りといった自覚症状を引き起こし、さらに逆流量が増えると湿疹や色素沈着・皮膚潰瘍といった皮膚症状を引き起こすこともあります。そして、表在静脈の中でも比較的深い部分を走行する伏在静脈、浅い側枝静脈や毛細血管など、壊れる場所が変わると症状や見た目などが大きく異なりますので、それぞれ名前を付けて区別しています。

静脈瘤の種類

伏在型静脈瘤

伏在静脈の故障が関係する下肢静脈瘤です。写真のようにボコボコとした血管を伴う静脈瘤はほとんどがこれに分類されます。「伏在型」と名前がついていますが、実際には伏在静脈だけが壊れていることは稀で、通常は伏在静脈とそれと繋がる側枝静脈の両方が故障しています。そして、ちょっとややこしいのですが、伏在静脈は少し潜ったところにあるので外からは見えず、ボコボコとした血管として皆さんが認識する部分は浅い側枝です。患者さんによって、壊れている場所は違っていて、伏在静脈の故障が中心であまり外からは見えない方や、逆に側枝静脈の故障が中心でボコボコが目立つ方もおられます。さらには、脚の内側にあったり、前にあったり、後ろにあったりと目立つ場所も全く異なります。静脈瘤の中では、最も症状が出やすく、しばしば手術などの治療が必要になります。

側枝型静脈瘤

伏在静脈が関与せず、側枝だけが故障して生じる静脈瘤です。パッと見ると、伏在型と似ています。ただし、伏在型と比べて逆流する血液の量が少ないために、自覚症状を伴うことはあまりありません。ただし、穿通枝と呼ばれる筋膜を貫いて走行する静脈があり、その強い故障を伴っている場合は血流が多くなり、血管に沿った軽い痛みや皮膚炎などを生じることもあります。

クモの巣状・網目状静脈瘤

細静脈や毛細血管といった非常に細い静脈が故障して生じる静脈瘤で、赤紫色に見えるとても細いものをクモの巣状静脈瘤、青紫色に見える比較的太いものを網目状静脈瘤と呼びます。区別をしていますが、この両者は連携していることが多く、たいていの場合その両方が混ざった状態で存在します。とても細い血管ですから、その逆流によって漏れる血液はわずかであり、基本的にはだるさなどの症状を引き起こすことはありません。どちらかと言うと外見上の問題となります。

陰部静脈瘤

他のタイプと異なる部分の多い静脈瘤です。まず、他の静脈瘤は脚の中で完結しますが、陰部静脈瘤はお腹の中から始まっている事が多いです。腎臓や子宮、卵巣といった臓器に関係する静脈の故障があって、その影響で骨盤内で静脈の流れが淀み、さらに脚に漏れて影響を及ぼしているのです。出産後の女性に多い傾向があります。外見上は側枝静脈瘤とそっくりですが、大腿部の内側や後面に多いこと、見た目から予想するより強く症状が出ること、その症状が生理の周期に合わせて変動すること、などの特徴があり、比較的簡単に区別ができます。しばらく立っているとだるくなって休みたくなったり、時には痛みを伴うこともあり、治療を希望される方が多いです。

再発型静脈瘤

ここまで、伏在型、側枝型、クモの巣状、網目状、陰部静脈瘤について説明しましたが、それらは壊れている静脈の部位や太さなどで区別されます。それに対して再発型は、部位や大きさに関係なく治療後に静脈瘤がまた戻ってきた状態を指します。残念ながら、下肢静脈瘤は再発する傾向を持った疾患で、古い調査ではおよそ1年に3%、10年で30%の患者さんで再発すると報告されています。以前に行われた治療によって、解剖学的に複雑な状況になっていたり、血管が癒着・蛇行して処理が難しくなっていたりと、再発の治療は手数を要し、かつ不十分になる傾向があり問題となります。

この再発をできるだけ減らすことは、患者さんと私たちの共通の願いであり、再発についてはさらに細かく分析しています。例えば、再発した原因の分析をしばしば行うのですが、手術戦略の誤り、手術手技の誤り、病気の進行などと区分されます。そして、手術内容が原因となるものが見つかればそれに応じてその後の手術内容を改良します。毎年のようにそういった分析を行い、少しずつ治療を改良してきました。その結果、手術内容が原因となった再発はかなり減らす事ができました。

それでも再発する方がおられます。「体質」と片付けてしまうのは簡単かもしれませんが、それでは患者さんは救われませんし、私たちも進歩しません。次はそういった再発さえも減らせるように、いろいろなことを考えています。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

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