• お役立ちコラム

下肢静脈瘤について

2026.04.26

なぜ、あんな形になるんだろう?

下肢静脈瘤に関して、当クリニックのサイトで数多くのコラムを書いてきました。そこで何よりも大切にしてきたことが正確性です。できるだけわかりやすい言葉で表現してはいますが、その情報源は可能な限り医学論文に求めてきました。科学的に正しいと証明された事柄をわかりやすく解説することを目標とし、自分自身の感想や印象といった個人的な意見には、そうとわかるような表現を用いるように気をつけています。ですが、この項目についてはほぼ個人的な印象の話となりますので、そのつもりで読み物として楽しんでいただけると嬉しいです。

科学が好き

私は科学が大好きです。私達が普段経験している現象のほとんどが科学的に解明されて、数式で表す事が可能になりました。でも、当然ですがまだわからないこともたくさんあります。例えば、自転車が倒れずに走れる理由や、雷が発生する理由、氷の上が滑る理由などは、完全な解明に至っていないそうです。私は、こういう今までわからなかったことがわかる瞬間が大好きです。そして、その解決策がシンプルであればあるほど美しいと考えます。なので、同じ解決でも、ニュートンの逸話(落ちてきたリンゴを見て重力を発見)のほうが、最新のコンピューターで何万回とシミュレーションを繰り返して出た答えよりも、好きです。

静脈の蛇行

本題に入ります。下肢静脈瘤といえば、ボコボコとした血管を思い浮かべる方が多いのでは無いでしょうか。あのボコボコの中身は側枝静脈が曲がりくねりながら拡張した姿で、その出っ張った部分だけが皮膚ごしに見えているわけです。実は、静脈瘤になるとなぜあのように側枝が変形するのか明確な説明はされていません。まあ、そもそもがなぜ静脈瘤になるのか?なぜ片脚だけなる人がいるのか?など、重要な疑問に対する明確な説明もまだできませんが。個人的には、あの形が気になってずっと考えています。

川の流れのように

基本的には川の流れが蛇行する理由と同じだと考えています。川といっても、日本の山岳部のような山の谷間を縫うように流れる川ではなくて、広い平地を自由に流れる川です。アマゾン川とか石狩川がその代表で、最初は真っ直ぐに流れていた川が少し曲がると、そのカーブの内側と外側で流速が変化します。外側では速くなり、内側では遅くなる。速い外側ではその流れによって川岸が削られ、遅い内側ではその削られた土砂が溜まりますから、少しずつカーブが強くなります。その結果として写真のような曲がりくねった姿になります。

静脈も中に血液が流れており、しかもその流れは体勢や筋ポンプの働きによってダイナミックに変化します。本来であれば、その程度の圧力・流速の変化を見越して静脈の壁はある程度丈夫に作られています。しかし、静脈瘤によって壁が傷ついていたり、強すぎる圧力がかかったりすると、壁の一部が破綻して血管が変形してしまいます。そうやって伸びた部位にはより強い圧力がかかるようになり、さらに引き伸ばされてしまう。その繰り返しで少しずつ血管は変形します。

ここまで、科学的な事実も含めた個人的な予想でした。ですが、実際に手術で取り出した血管を見ると、カーブの外側では、血管壁が薄く引き伸ばされている姿が確認できますので、あながち間違ってはいないと思っています。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

pagetop

c 2018 やまもと静脈瘤クリニック.