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診断・検査

2026.04.26

静脈の超音波検査(エコー)で見ているもの

エコー検査の仕組み

下肢静脈瘤を疑った際に私達が標準的に行うのが超音波検査(エコー検査)です。機械から出した超音波が体の組織に当たって跳ね返り、返ってきた超音波を検出し、画像に変換する機械です(この文章から、エコー検査の仕組みを理解できた方は天才です)。ちなみに、漁師さんが使う魚群探知機も仕組みは同じです。エコー検査は面白い検査で、画像検査と機能検査のハイブリッドみたいな感じです。

詳しく説明しますね。画像検査で有名なものはX線検査、そしてCT検査だと思います。どちらも、体の内部の情報を画像として表してくれます。ただし、いずれも撮影した瞬間の画像しか得られません。何かを動かしながら、その動きを画像として確認することはできません。それに対してエコー検査は持続的に画像を表示できるので、時間経過に沿った動きや変化を捉える事ができます。なので、心臓のような動き続けている臓器を観察するには最も適していますし、さらには血液の流れを観察することも出来ますから、心臓の形だけを見るのではなくその機能も見ることができます。

そして、私たちの領域ではどうでしょうか?実は血管もエコーでの観察に適した組織で、その形だけではなく内部の流れも観察できるエコー検査の本領が発揮されます。静脈があるか、詰まっていないか、流れはあるか、逆流していないかなどといった重要な情報を体への負担なく得る事ができます。さらに、下肢静脈瘤の検査をする時に静脈瘤だけを見るわけではありません。筋肉の間を走行する深部静脈と呼ばれる重要な静脈や、主要な動脈、そして場合によっては神経や筋肉も観察しますが、それらもエコー検査の良いターゲットです。

下肢静脈エコーで何を見ているの?

やっと本論に入ります。私たちは下肢静脈瘤を疑ってエコー検査をするときに何を見ているのでしょうか?ざっと表すとこんな感じです。

・重要ターゲット: 伏在静脈

・副次ターゲット: 深部静脈、側枝静脈、穿通枝、動脈

脚の静脈をすごく簡単に分けると、筋肉の間を走る深部静脈、脂肪の深いところを走る伏在静脈、脂肪の浅いところを走る側枝静脈と、その深さによって3つに区分できます。他に、深部静脈と伏在静脈や側枝をつなぐ働きをする穿通枝と呼ばれる静脈があります。順にもう少し詳しく説明します。

深部静脈

脚にとって最も重要な静脈で、筋ポンプ機能が主に働く場所であり、心臓に帰る血液の主な通り道です。深部静脈に欠損、狭窄、血栓、逆流などの問題があると強い症状を引き起こすことが多く、その問題に対する治療を最優先することになります。この静脈が正しく機能していることを確認するところから検査が始まります。

伏在静脈

下肢静脈瘤のエコー検査を行うときに、最も重要な対象です。なぜでしょう?静脈瘤は静脈弁が故障して静脈血が逆流することで生じる病気です。そして、大雑把にいうと、その逆流する量が増えると症状が進行する傾向があります。そう考えると、同じ逆流でも太い静脈に生じるものの方が大きな意味を持ち、深部>>伏在>側枝という順番に大きい訳ですから、本当なら深部静脈の逆流が最も大きな問題となります。ただ、深部静脈の逆流はかなり珍しく、実際の臨床では伏在静脈の逆流が問題となることの方が圧倒的に多いのです。そして、下肢静脈瘤の様々なタイプの中で、伏在静脈の故障を伴うものが強い症状を引き起こす可能性があることが知られており、静脈瘤の診断や治療の重要な基準となっています。これらの理由から、エコー検査で伏在静脈は重点的に観察されます。

側枝静脈

浅いところにあるので外から簡単に観察できます。皆さんが見る、ボコボコとした静脈瘤はほぼこの側枝静脈が変形したものです。患者さんによっては、この側枝の故障が問題となっていることもありますが、検査の際に側枝の扱いはやや軽くなります。なぜでしょう?答えは簡単で、外から見えるからです。

穿通枝

深部静脈と伏在・側枝静脈をつなぐ血管です。脚の血流には大きな方向性が2つあります。1つは「下→上」です。これは分かりますよね。上にある心臓に向かって血液を返さないといけません。もう一つは、「表面→奥」です。脚から心臓に血液を返す主要な通路である深部静脈に血液を集めるために、「表面→奥」という流れもあるのです。そして、この奥への流れを担うのが穿通枝で、必ず静脈弁が備わっており通常は奥へ向かう一方通行になっています。しかし、弁が故障して逆流することがあり、深部静脈から伏在・側枝静脈に血液が漏れてしまいます。なので、伏在静脈が関係しない大きめの静脈瘤がある場合は、この穿通枝の異常を疑いながら検査をしています。

動脈

静脈の異常を心配して来られる患者さんの中にも、ある程度の確率で動脈に問題がある患者さんがおられます。基本的には、動脈の問題はエコー検査をする前に疑っていることが多いです。なぜでしょう?動脈の流れが悪くなると、脚に血液がこなくなります。そのような脚は全体に白っぽく、冷たくなるのです。逆に静脈の流れが悪くなると、脚に血液が渋滞するので、脚が赤っぽく、熱を帯びます。それが全てではありませんが、ほとんどの動脈疾患と静脈疾患はエコー検査前に見分けることができます。それでも、検査中に動脈は観察します。「見ている」というより「見えている」という感じです。主要な動脈は原則的に深部静脈と並走しており、深部静脈を観察する時に自然に視野に入ります。

ちなみにエコー検査で逆流が見つかったからと言って、その全てに治療が必要とは限りません。エコー検査では、静脈の種類、逆流時間、そういった情報を基に逆流の有無を区分する明確な基準があります。ただし、そこで定めているのは静脈弁が壊れているかどうかの判定基準であり、治療が必要かどうかを定めた基準ではありません。実際に当クリニックでエコー検査を受けた方で、脚のどこかに逆流が認められる方は2/3くらいに及びますが、治療が必要になるケースはその半分以下となります。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

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