下肢静脈瘤に行われる画像検査
下肢静脈瘤に対して、行われる画像検査には、エコー検査、CT検査、静脈造影などがあります。それぞれを一般的に説明すると、
エコー検査
プローブから放出した超音波が組織に跳ね返されて返ってきたものを画像化する検査。長所は、自由な体勢で検査が行えること。今、目の前で起こっている現象をそのまま見ることができること。動きをそのまま観察できること。放射線被曝が無いこと。など。短所は、プローブを当てている狭い範囲しか観察できないこと。骨や空気の下は見えなくなること。検査を行う人間の技術や知識が検査結果を左右すること。
CT検査
放射線の放出器と検出器をリング状に配置し、中を通る対象の内部構造を観察する検査。長所は、全体像を掴みやすいこと(本来は体をスライスした断面像を描く検査ですが、その画像をコンピューターで処理し血管の3D画像を作ることができます)。検査を行う人間の技量があまり問題にならないこと。短所は、撮影時の体勢が限定されること。逆流の評価ができないこと。放射線被曝があること。
静脈造影
透視検査というものがあります。いわゆるX線検査を写真だとすると、透視検査は動画です。放射線を持続的に放出しながら、検査や処置を行うのです。検査を行う医療者の被曝が問題になるので、通常は放射線防護服を着て検査を行います。当然、患者さんの被曝量も問題となります。このような物々しい検査ですから、あまり行いたくありません。ですが、かつてエコー検査の技術が普及する前は、下肢静脈瘤の手術前によく行われていました。
エコーだけで十分な理由
おそらく、現代の日本では下肢静脈瘤に対して、エコー検査だけを行う施設と、エコー検査の後でCT検査を追加する施設に分かれます。なぜでしょう? 下肢静脈瘤については、CT検査の短所がはっきりしています。端的にいうと、CT検査はある一瞬の体の形を画像化する検査です。でも、下肢静脈瘤は弁が壊れて静脈が逆流する疾患で、逆流という動きを測る必要があります。残念ながらCTではその動きを測ることができません。ですから、どの医療機関でも最初にエコー検査を行うはずです。そして、エコー検査によって治療が必要な下肢静脈瘤があると判明した後で、CT検査を行う施設とそうでない施設がある。追加のCT検査は本当に必要でしょうか? 私がCT検査を追加するのは非常に限られたケースです。「深部静脈の異常が否定しきれない時」。状況としては、一般的な下肢静脈瘤ではなく、下肢静脈瘤に何かの深部静脈の異常が加わっていると疑っていますが、何かの理由(すごく脚が太いなど)でエコーでの深部静脈の観察が十分にできないような。おそらく1000人に1人もいません。CT検査を行うために要する時間、費用、被曝、それらを考えたときに本当にその検査が必要なのか慎重に考える必要があります。
山本 崇
やまもと静脈瘤クリニック




