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下肢静脈瘤について

2026.04.26

下肢静脈瘤とよく間違われる病気

下肢静脈瘤の難しさ

私たち医師は大学で臨床医学の授業を受け、臨床実習を受け、医師国家試験を受けていますが、実はその内容が全ての診療科の全ての疾患を網羅しているわけではありません。教育を受けるのは、医師として働く上で基本となるような疾患が中心で、生命に関わらない病気への関心は薄くなってしまいます。下肢静脈瘤はまさにそのようなあまり関心を持たれない病気の一つです。なので、私自身も学生時代や国家試験を振り返った時に下肢静脈瘤のことを勉強した覚えがありません。ですので、実は下肢静脈瘤のことをほぼ学んだことの無い医師はたくさんおられます。医師でさえそうですから、一般の方々に下肢静脈瘤の正確な情報を伝えることはなかなか大変です。ここでは、症状が下肢静脈瘤とよく似ていて、しばしば鑑別の対象となる疾患をいくつか紹介します。

間欠性跛行 

しばらく歩くとふくらはぎが痛くなって歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる、という症状で悩んでいる患者さんがおられます。このような症状を間欠性跛行と呼びます。しばらく歩くと休みたくなって、少し休むと歩けるようになるって普通のことのように感じますよね。おそらく、ほとんどの人はそう思っているはずです。でも間欠性跛行の症状はもっと劇的に強いです。これは、主に動脈、神経、静脈が原因となって生じます。最も多いのは動脈によるもので、動脈が細くなっていると、筋肉が休んでいる時の少量の血流なら賄えるのですが、筋肉が活動して必要になる血流が増えるとそれが賄えなくなり痛みを生じます。休んで筋肉が求める血流が下がると痛みは改善します。神経による間欠性跛行は、背骨の中で神経が通るスペースが狭くなった患者さんで見られます。歩いていると、振動や骨・軟骨のずれによって神経や血管が圧迫されて症状が出現します。この場合は、ただ休むよりも前屈みになっているとはっきりと改善することが多いです。最後に静脈が原因となることもあります。ただし、実際に静脈が原因となる場合は深部静脈のトラブルであることがほとんどで、下肢静脈瘤が原因となるケースはあまり見かけません。

うっ滞性皮膚炎

これはとても難解な疾患です。説明するなら、静脈の流れが悪いせいで引き起こされる皮膚及び皮下組織の問題、といったところでしょうか。でも、その境界はとても曖昧です。何がうっ滞性皮膚炎で、何がそうでは無いのか。例えば、高血圧や糖尿病といった時には、その境界線が明確に存在します。その時代に応じて境界線の位置は変わりますが、明確な定義があってそしてそれはどこの病院に行っても同じです。ですが、うっ滞性皮膚炎の定義はそこまで明確ではありません。そもそも静脈鬱滞に明確な定義がありません。まず静脈の故障が有るのか無いのか。静脈の故障がある場合はまだ分類が可能で、故障が閉塞なのか逆流なのか、その部位は深部静脈か表在静脈か、などによって定義されます。ですが、世の中には静脈の故障を伴わない静脈鬱滞の患者さんも大勢おられます。むしろ、故障がない人の方が多いかもしれません。その場合は、長時間の立ち仕事をしているとか、活動量が乏しいとか、歩く距離・時間が少ないことが原因となっています。結局のところ、体の中で最も静脈うっ滞の影響を受けやすいのが下腿ですから、下腿に限局して生じる皮膚炎のほとんどは、静脈鬱滞と関連があるとも言えます。ただし、その中でも皮膚炎の種類や分布によって、静脈疾患との関連が強いのか弱いのかという推測は可能です。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

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