• お役立ちコラム

下肢静脈瘤について

2026.04.26

治療は必要なの?

患者さんにとっては、治療が必要なのかどうか、というのはとても重要な問題です。皆さんが考えていること、望んでいることはなんとなく分かります。きっと、「あなたは手術を受けなきゃいけない!!!」もしくは「あなたには治療は要らない!!!」と言い切って欲しいんだろうな、と感じることがあります。ですが、私が「絶対に治療が必要!」と言うことはほとんどありません。なぜでしょう?

症状を見極める

クリニックを受診される理由は患者さんそれぞれで異なります。だるさやこむら返りといった症状が気になっている方がいれば、血管の外見が気になっておられる方もいますし、おそらく下肢静脈瘤と関係が無さそうな症状を訴えておられる方もおられます。そして、たいていの方は複数の症状が絡み合っています。まずはっきりしていることは、何か問題があるから受診されているのです。私の診察は、この症状のパズルを解きほぐすためにあります。進行した下肢静脈瘤があったとしても、症状の全てが下肢静脈瘤のせいで生じているわけではありません。例えば、立ち仕事の影響、皮膚炎、関節炎、内科疾患など様々なことが関係します。ですから、例えば「むくみ」、「かゆみ」と「ボコボコ」で困っている患者さんが来られたら、様々な要因がどの程度関係しているか考えます。たいていの場合、「ボコボコ」の原因は下肢静脈瘤で間違いありません。でも、「むくみ」の原因は下肢静脈瘤20%、生活習慣60%、膝関節20%となるかもしれません。「かゆみ」の原因は全く別の皮膚炎かもしれません。こうやって症状のパズルを解きほぐすまでが第一段階です。

治療をしたらどうなるか?

次に、下肢静脈瘤という病気について詳しく知ってもらい、治療をした場合としなかった場合に、何がどうなるのか?、それを具体的に考えてもらいます。下肢静脈瘤は基本的に生命を脅かすような病気ではありません。例えば、下肢静脈瘤のせいで血栓で命を落とすことはありませんし、歩けなくなることや、足を切断するようなこともありません。このような下肢静脈瘤の性質を理解して頂くと、重要な判断をする上で迷いがなくなります。それを踏まえて、先ほど解いたパズルの結果が重要となります。先ほどの例で説明すると、「ボコボコ」は良くなる、「むくみ」は少しだけ改善、「かゆみ」は全く変わらないでしょう。これを説明し、治療によって何がどう変わるのかイメージしてもらう。さらには、治療することによるデメリットも考えないといけません。治療にはある程度の痛みや内出血・術後のしこりなど、小さいながらも不愉快な副作用が伴われますし、費用や通院時間といった社会的な負担も見逃せません。そういったマイナスの部分も含めてしっかりと理解してもらう。ここまで、下肢静脈瘤のこと、現在の状態、治療したらどうなるのか、それを知ってもらうのが第二段階です。

治療は本当に必要ですか?

最後に考えるのが治療が必要なのかどうか? ここまでは、私達クリニックが中心となって進めて来ましたが、最終段階の主役は変わります。治療が必要かどうかを最終的に決めるのはあなた自身なんです。ゆっくり考えて欲しいのです。そもそも何が気になって、何を治したくてクリニックに来たのか。治療によって改善できる部分とそうで無い部分、治療に伴う負担。こういった事柄をしっかりと理解した上で、どうするか決めるのは患者さん自身です。私達が行うのは、ご自身にとって適切な判断を下してもらうためのアドバイスです。それでも、めっちゃ重症な人にははっきりと言います。「治療が必要」って。でも、そういう重症な患者さんのほとんどは、私に言われる前に自分で分かっておられます。

山本 崇

やまもと静脈瘤クリニック

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